あまり映画は見ないので、アカデミー賞へのコメントは特段有りませんけど、今回作品賞にノミネートされた中では珍しく見たものがありました。
それは結果として助演男優賞を受賞されていた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』です。
クエンティン・タランティーノ監督作品は、学生のころから好きで良く見ていましたので、今回も楽しんでみました。
好みが大いに分かれることは十二分に理解しておりますけれども、私自身は声を出して笑う位にどの作品も楽しんでいます。


さて、映画館で映画を見ることは殆ど無いものの週末にある深夜の映画は月に8本程度見たりしています。
中でも年末年始は録り溜めしていますので、その映画を少しずつ見ているところで表題の『The Big Short』に感じるものがありました。
普段は早送りしながら見たりして、場合によっては5分飛ばしてオチだけ見て直ぐハードディスクから消すことが多い中で、『The Big Short』は繰返し見ており、未だに消していません。
映画の内容としては、サブプライムローンからリーマンショックまでの金融機関の話ですけど、日本のバブル同様、当時の現象を疑問視する事すら異分子扱いされて、否定されている方々は今の時代にも数多くいることだろうと思います。
それでもロジカルに指摘出来ているかどうかは常に見極めなければいけないと強く感じました。
行動経済学等で論理道理に人間が動かないことは学んでいますけど、やはりシーザーの『人間はみな自分の見たいものしか見ようとしない。』を見せつけられたようにも思います。

私共の会社は有難いことにサブプライムローンが開示されると同時に緊縮財政を敷くことでリーマンショック時にはキャッシュのポジションが上がっていました。
周囲には賛否両論様々な理論展開をしている方が居る中で、トップからの厳命によりその後の躍進へ繋がる事件としてグループ社員は認識しているかと思います。


私は情報が不足しやすい自衛官時代からニューズウィークを定期購読している時期があり、その中の論点でサブプライムローンを指摘している記事がとても心に残っていました。
「アメリカの不動産はバブルであって、脆弱な一般市民の住宅ローンに支えられている。長持ちはしない」と言う論調でした。
勿論、それに反論する文面の方が多くありましたけど、「アメリカ人の多くは日本人と違って貯金するよりもお金を流通させることで経済を動かし続けるのだ。」と言うのが肯定的な論調のベースにあったので、私には違和感があったことを覚えています。


本映画の中でも本質に数年前に気付いた人々は勿論経済的に成功をしました。
それでもサブプライムローンがはじけてからリーマンショックが起こるまでの期間に誰もその矛盾を指摘することなく負債を拡げ続けたことにむなしさを覚えていたようでした。
結果、リーマンショックは金融機関の人間以上に一般市民に多くの影響を与えました。
政府も救済に入り、金融機関が潰れた件数は本質よりは少なかったようにも思います。
もっと金融機関の方には責任が伴うべき事件であったというのが私の認識です。
映画の中であった「嘘をついて長期間成功した人間はいない。」と言うのは、出口氏も良く言われている「多くの人間を長期間騙せたことは一度もない」と同じものであると感じました。


私自身がどこまで本質を理解して違和感を指摘できるかはわかりませんけれども、常に自分の頭で考え続けることを大切にしたいと思います。
「前回もそうだった」、「周りの人間もやっている」はやはり理由にならないことを痛感します。
ホモサピエンスは本質的に保守的であることは生物の大切な生存本能の一つではありますけど、「万物は流転する」ので、前提を疑い続けることを大切にしてまいります。

久しぶりに面白い映画だと思いまして、少しネットで調べましたら2015年にアカデミー賞にノミネートされていたものだとしり、さもありなんと思った次第です。